米刑務所、イラスト入門書など多数の書籍を禁止
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【10月26日 AFP】言論の自由の擁護団体「ペン・アメリカ(PEN America)」は25日、米国の刑務所で閲覧が禁止されている書籍が数万冊に上るとの報告書を発表した。これらにはイラスト入門書や紐の結び方、外国語学習書などが含まれている。
刑務所当局は禁止の理由として、漠然とした「セキュリティー」上の懸念や、性的な内容を挙げている。これにより約120万人いる受刑者の一部は、友人や支援者、出版社や書店から届けられた無害な内容の書籍を読めなくなっているという。
ペン・アメリカは、施設によって禁止図書の方針に差があり、一貫性を欠いていることも多いと指摘。このため、「圧倒的な」数の書籍が郵便物の仕分け室で止められてしまっている。
禁止された書籍には、米コメディアンで俳優のエイミー・シューマー(Amy Schumer)の自伝的本、孫子の兵法などが含まれる。
また、「性的な内容を理由に禁止された書籍は、更年期に関するものからコスモポリタン(Cosmopolitan)やローリング・ストーン(Rolling Stone)などの雑誌、芸術や医学に関するものまで、極めて広範囲に及んでいた」と指摘している。
ペン・アメリカによると、全50州のうち、禁止図書のリストを一元的に管理しているのは約半数にとどまる。郵便物の仕分け室の職員が判断するといった場当たり的な対応も多いという。
禁止図書を把握していた州のうち、禁止図書が最も多かったのはフロリダ州で約2万3000冊、次いでテキサス州が約1万冊に上った。
報告書はまた、禁止の理由が多岐にわたると指摘している。
例えばミシガン州では、「すぐわかるスペイン語(Spanish at a Glance)」が、刑務所内の「秩序と安全を脅かす」と判断され、禁止された。受刑者同士が、職員の理解できない言語でコミュニケーションを図る目的で使われる恐れがあるためとしている。
米国で最も検閲された書籍は「刑務所ラーメン(Prison Ramen)」だった。刑務所内でも作れるレシピを掲載しており、19の州で禁止されている。(c)AFP