【10月26日 AFP】ヨルダンのラニア王妃(Queen Rania)は25日に放映された米CNNのインタビューで、イスラエルの空爆によるパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の民間人殺害を非難しない西側の指導者たちについて、「目に余る二重基準」だと批判した。

 ラニア王妃はクウェート生まれで、両親はパレスチナ人。王妃はCNNのクリスティアン・アマンプール(Christiane Amanpour)記者に対し、「ヨルダンを含む中東全域の人々は、現在進行中のこの大惨事に対する世界の反応にショックを受け失望している。ここ数週間、私たちは世界の目に余る二重基準を目の当たりにしてきた」と述べた。

 さらに「(ハマスがイスラエルに奇襲を仕掛けた)今月7日には、世界は直ちにイスラエルとその自衛権を明確に擁護し、ハマスの攻撃を非難した」のに対し、イスラエルがガザを攻撃している「この2、3週間、世界は沈黙している」と批判した。

 イスラエル当局によると、ハマスの奇襲によってイスラエル側では1400人以上が死亡、220人以上が拉致された。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するガザを絶え間なく空爆しており、ガザの保健当局によれば、これまでに多くの子どもを含む6546人が死亡した。いずれも死者の大半は民間人だ。

 イスラエルによるガザの完全包囲について、国連(UN)は住民240万人が「壊滅的」な人道危機に直面していると警告している。

 ラニア王妃は「家族を銃で皆殺しにするのは間違っているが、空爆でならば構わないとでも言うのだろうか」と問い掛けた。

 多くの西側諸国はイスラエルに国際法を尊重するよう促す一方で、繰り返し支持を表明している。また、イスラエルと米国などの同盟国は「全面的な停戦」に反対。米国は、ハマスを利するだけだと主張している。

 全面停戦を支持しない西側諸国について、ラニア王妃は「その沈黙は耳に痛いほどだ。中東の多くの人々にとって、イスラエルに対する支持や援護は(ガザ攻撃への)加担を意味する」と批判した。

 国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は25日、イスラエルによるガザ攻撃は「明らかな国際法違反」だと批判。ハマスの攻撃は「降って湧いた」出来事ではなく、パレスチナ人は「56年間にわたって息の詰まるような占領」に耐えてきたと指摘した。

 ラニア王妃も、イスラエルとパレスチナの紛争が今月7日に始まったように語るのは誤りだと強調。「これは75年間続いてきた物語であり、圧倒的な数のパレスチナ人の死と強制退去の物語だ。アパルトヘイト政権(イスラエル)下における占領の物語だ」と述べた。(c)AFP