【10月25日 AFP】世界で最も男女平等に近いとされる人口約37万人のアイスランドで24日、数万人の女性が男性との賃金格差の解消を求めるとともに女性への暴力に抗議してストライキを行った。カトリン・ヤコブスドッティル(Katrin Jakobsdottir)首相も参加した。主催者が明らかにした。

 アイスランドは、すでに世界経済フォーラム(WEF)の「ジェンダーギャップ指数」で首位を維持しているが、主催者側は、格差の解消をさらに進め、世界に模範を示す必要があるとしている。

 アイスランド統計局(Statistics Iceland)によると、2021年の女性の平均賃金は男性よりも10.2%低かった。

 主催者によれば、1975年以来、同様のストは6回行われてきたが、終日行われたのは今回が2回目。

 首相府の報道官はAFPに、ヤコブスドッティル氏もストに参加したとし、「公務を取りやめ、その関係できょう予定されていた閣議はあすに変更された」と明らかにした。

 午後には、首都レイキャビクの中央広場で数万人の女性が大規模デモを行った。全国各地でも同様のデモが計画された。

 市職員の75%を女性が占めているレイキャビクでは、59か所の保育所と幼稚園が休園となるなど、市が提供するすべてのサービスがストの影響を受けた。

 市は、職員がストに参加しても賃金は支払われると説明している。

 主催者はストについて、女性が担わされることが多い無報酬労働を男性に引き受けてもらう狙いもあると説明。「例えば、朝食や弁当の準備、身内の誕生日の把握や義母へのプレゼントの購入、子どもの歯医者の予約など。きょうは、さまざまな家事を夫や父親、兄弟、叔父・伯父が担うことを期待している」としている。

 ストには、ジェンダーに基づく暴力を啓発する狙いも込められている。

 マーケティング・グループ、ビジネス・アイスランド(Business Iceland)の観光部門責任者を務めるリナ・ペトラ・ソラリンドッティル氏(45)は、「アイスランドでは今なお、女性の40%は何らかの暴力を受けた経験があるか、生涯のうちに何らかの暴力を経験する」と指摘。

「このストは、賃金労働と無報酬労働双方での男女平等の実現を求めるものであると同時に、女性やノンバイナリーの人々への暴力にも関するものでもある」と話した。(c)AFP