イスラエル・ガザ紛争、プーチン氏に好機とリスク
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【10月19日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)とイスラエルの紛争は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領にとって好機とリスクの両面を併せ持っている。ウクライナ侵攻を続けるロシアの外交政策への影響について、専門家に聞いた。
■ウクライナから関心をそらす
新たな危機を受け、国際社会の関心はロシアによる侵攻を600日以上しのいでいるウクライナから中東にシフトした。
仏・ロシア系シンクタンク、オブゼルボ(Observatory)のイゴール・デラノエ副所長は、「実際、ハマスの奇襲およびその後の事態に伴い、ウクライナへの西側の関心は総じて薄れている」と指摘した。
カーネギー国際平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)ロシア・ユーラシアセンター(Russia Eurasia Center)のアレクサンドル・ガブエフ部長は、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官、ジェイク・サリバン(Jake Sullivan)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)といった米政府高官は、今後数か月は中東問題に多くの時間を費やすことになると予想。「米国や他の西側諸国の関心の的は大きくシフトするため、この紛争はロシアの利益になる」と語った。
■混沌を回避
中東は伝統的に、ロシアにとって極めて重要な地域だ。ハマスを含むパレスチナの組織との接触を維持する一方、ソ連時代にさかのぼる複雑な関係性の中でイスラエルとは対立することもあった。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のアナリスト、ハナ・ノッテ氏は「ハマスおよび今回の攻撃の立案、武器調達、実行に対するロシアの直接支援」を示す証拠は確認できていないと説明。「明白なのは、ロシアの支援は必要なかったということだ」と話した。
フランスの政治分析会社、Rポリティーク(R.Politik)のタチアナ・スタノバヤ代表は、イランとイスラエルの紛争にエスカレートすれば、「ロシアが中東で確立したプレゼンスと、長期にわたって進行中のシリアでの軍事作戦を台無しにする可能性がある」と分析。
シリアにおけるロシアの軍事基地は重要なハブ拠点であり、アフリカ、中東でのロシアの影響力行使に役立っていると述べた。