【10月18日 AFP】現在の欧州ではほぼ食用として供されることがない海藻類などの水生植物だが、中石器時代には重要な栄養源だったことが分かったとする研究論文が17日、発表された。

 海藻類は、日本などのアジアの一部の国々では一般的に食べられているが、欧州では英ウェールズ料理のラバーブレッドなどの例外を除き、食卓に上がることはない。

 しかし、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)にこのほど発表された研究論文では、欧州でも長きにわたって食用とされていたことが分かったとされ、また、栄養価の高い水生植物を再導入すべきとの提案も行われた。

 英グラスゴー大学(University of Glasgow)の考古学者カレン・ハーディー(Karen Hardy)氏率いる研究チームは、英スコットランドやスペインなどの遺跡28か所から出土した古代人74人の歯から歯垢を採取・分析し、当時の海藻類の摂取について調べた。

 研究では、質量分析装置を用いて有機化合物の特定を試みた。その結果、古代人が水生植物を食べていたことを示す痕跡が見つかった。

 スコットランド・オークニー諸島(Orkney islands)では約5000年前に、スペイン南部では約8000年前に紅藻が食べられていた。また、ポルトガル、スコットランド、リトアニアではヒルムシロなど淡水性の水草を食用としていたことも分かった。

 ハーディー氏は、「今回の研究結果が示している時間的範囲を超えて(海藻類などの水生植物が)食べられていた可能性が高い」とAFPに述べた。

 これまで、欧州では1万年以上前に農耕技術が導入されて以降、水生植物を食べなくなったと考えられていたが、農耕ばかりが研究対象となっていたことからそれらの摂取について見逃していたとした。

 研究者らはまた、海藻類は地産地消が可能で、食料の大量生産に伴う炭素排出量の低減も可能と指摘した。

 ハーディー氏は、「(海藻類は)健康的で栄養も豊富。入手も容易で再生可能的」と前置きした上で、「欧州ではずっと以前に食べられていた」とし、食用としての再導入に期待を示した。(c)AFP