【10月18日 CNS】サウジアラビアの首都リヤドで開催された第45回世界遺産会議で、プーアル茶で知られる中国・雲南省(Yunnan)普洱市(Pu’er)の景邁山(Jingmai Mountain)古茶林が審査を通過し、正式に世界遺産リストに登録された。お茶をテーマにした世界遺産は世界初となる。

 景邁山にある古茶園には樹齢1000年の茶林があり、茶栽培の長い歴史をうかがわせている。人里離れたこの山に住むのは、中国の少数民族のダイ族とブラン族であり、今でも伝統的な生活様式を維持している。

 この山では日陰をつくる樹木を残し、自然林の一部の木や低木を伐採した上でお茶の木を植えてきた。1000年の歳月を経て、景邁山の古代茶林は独特の文化を形成したのだ。

 世界文化遺産に選ばれた理由について、景邁山古茶林申請チームの責任者であり、北京大学(Peking University)都市環境学部教授の陳耀華(Chen Yaohua)氏は「古茶林だけでなく、民族の伝統的な生活様式が残されていることも貴重だ」と説明する。

 景邁山では水源が頂上にあり、古茶林は山の中腹にあることから、豊かな茶林が維持されてきたと考えられている。

 また、村人たちはお茶の木を信仰してきた。山中に点在するご神木とされるお茶の木は村人の信仰の対象であり、道徳観を表している。この道徳観は自然を尊重し、生き物を保護し、隣人と調和のとれた共存を大切にしてきた。

 近年では景邁山を訪れる観光客も増え、村民に観光収入をもたらしている。景邁山のある普洱市は、必要な法規を策定するなどして古茶林を保護し、持続可能な発展を実現していく方針だ。(c)CNS/JCM/AFPBB News