【10月17日 AFP】今年2月6日に大地震に見舞われたトルコ南部のアンタキヤ(Antakya)で、フランス系スイス人アーティストのサイープ(Saype)ことギヨーム・ルグロ(Guillaume Legros)氏が、がれきの上で手掛けた巨大なアート作品を発表した。

 トルコ・シリア大地震による死者は5万5000人を超え、数千人が家を失った。

 1000平方メートルのがれきの上には、つながれた手がモノクロで描かれている。ここにはかつて、住宅やベーカリー、仕立屋などがあった。

 トルコ出身の女性を妻に持つルグロ氏は、「以前は活気のある通りだった」「7月に来た時は信じられない思いだった。災害の規模がいかに大きかったかを実感した」と話した。

 かつての面影をとどめていない古代都市の廃虚で、生存者のためのプロジェクトを行うことにしたという。

 ルグロ氏は草の上に絵を描く手法で知られるが、今回は「がれきや古い家屋、家族写真の上でじかに制作した。石の上に絵を描いたのは初めてだ」と語った。ペイントには生分解性の素材を使用した。

 16日間の制作中には、テントや輸送用コンテナの中で8か月間避難生活を続けている地元住民とも会った。自分たちが訪れたことを感謝されたという。

 今後はこの作品の印刷物を販売し、売り上げを生存者や遺族に寄付したいと話した。(c)AFP