■遺体を回収するイスラエル人

 イスラエル人のヨッシ・ランダウさん(55)は、何十年も遺体回収に携わってきた。だが今回、ハマスに殺害された人々の遺体を回収しながら限界に達しそうになった。

 イスラエル南部の沿岸都市アシュドッド(Ashdod)にある自宅から、ガザとの境界に近いスデロット(Sderot)に駆けつけたランダウさんが目にしたのは「おぞましい」光景だった。「車がひっくり返され、道に死体が転がっていた」

「(通常なら)15分しかかからない道のりが、遺体を1体ずつ袋に入れながら、11時間かかった」

 何十体もの遺体を冷蔵トラックに積み込んだ後、ガザから5キロほどの距離にある人口約1200人のキブツ(生活共同体)、ベエリ(Beeri)へ仲間のボランティアたちと向かった。

 最初の家に足を踏み入れ、女性の遺体を発見したとき、「精神が崩壊しそうになった。私だけでない。仲間全員がそうだった」

「女性は腹を割かれ、へその緒でつながったままの子どももいて、刺されていた」

 手を後ろに縛られて撃たれ、火をつけられた一団の遺体も見た。その中には子どもも20人ほどいた。「性的虐待を受けた姿勢のままの遺体もあった」

 このキブツでは100人以上が、近くで開かれていた野外音楽祭では270人以上が殺害された。

 12日にAFPの記者が訪れた会場には、遺品が散乱したままだった。

 森を抜けるハイキングルートを記した標識があった。近くに止まっていた車の中には血しぶきが飛び散っていた。

 圧倒的な規模の暴力に直面したランダウさんは「今は何も感じない」と言った。「自分の感情を仕事と切り離して考えるだけ。それがわれわれのやるべきことだ」 (c)AFP/Mai YAGHI