【10⽉13⽇ Peopleʼs Daily】中国では9月1日、バリアフリー環境建設法が施行された。障害者や高齢者が平等に、十分に、便利に社会生活に参加することを保障し、社会全体が経済と社会発展の成果を共有するための法の基盤だ。

 中国では2019年から2022年までの間に、都市部の老朽化した集合住宅16万7000か所で改造工事が実施された。そのことでエレベーター7万台が追加設置され、コミュニティーには養老、介護、保育など各種のサービス施設4万か所が増設された。しかし、さまざまな状況の人の個別ニーズを満たすという点で、理想と現実には今も一定の差が存在する。

 より的を絞ってバリアフリー施設の改造を行うにはどうすればよいのか。

 バリアフリー建設ではまず、道路での点字ブロック設置、集合団地などの建物の整備が実施された。現在ではバリアフリー駐車スペース、エレベーターの追加設置、信号機の音声案内、高齢者介護、食事介助、レジャー・フィットネス施設の設置など、ニーズが多様化した。

 中国政府関係者によると、現状の「健康診断」をして、人びとが最も強い反応を示す問題を見つけ出す必要があるという。その後は、その他の都市整備と結合させてバリアフリーを進めていかねばならない。完成後の運営や点検補修の仕組みを構築する必要もある。

 多くの人が「スマホに頼る生活」に慣れてきた。しかし同時に、障害者や高齢者がデジタル機器をうまく利用できない問題が発生した。

 中国政府・工業および情報化部は業界全体の力を結集し、情報バリアフリーを推進している。

 例えばスマートフォンブランドの栄耀(HONOR)はここ数年で、高齢者および障害者向けの機能17種を実用化した。大きな文字や大きな音量、簡素化されたページなどで高齢者にも使いやすくし、また通話内容を文字に自動変換して聴覚障害者にも利用可能にするなどだ。

 工業および情報化部はこれまでに1735社(種)のウェブサイトやアプリを指導し、高齢者や障害者に適するよう改造させた。例えば、一部の地図系アプリは障害者が階段や急な坂道などをできるだけ避けられるよう教える。一部の外出用アプリは、高齢者が1人で外出する際のタクシー利用の利便性を向上させる「ワンキー配車」機能を導入した。

 AI手話通訳ソフトは聴覚障害者と健聴者の円滑な交流を実現し、高齢者用スマートウオッチには血中酸素のモニタリングや転倒通報機能が追加された。洗濯など高齢者の家事を支援する介護ロボットも開発された。バリアフリースマート端末製品により、障害者と高齢者の生活の質が高められつつある。

 工業および情報化部が指導する企業連合は公益ボランティアチームを組織した。チームは高齢者コミュニティーや老人ホーム、高齢者大学に足を運んでデジタル技術利用の研修を展開している。アプリの利用についての指導や説明を受けた高齢者は、過去数年の活動を通して220万人以上に達した。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News