購入前の7日間試乗サービス、中国で中古車販売の救世主となるか
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【10月6日 東方新報】中国で成長を続ける中古車市場だが、意外にもディーラーは厳しい現実に直面しているという。
今年1月から5月までの中古車の販売台数は延べ723万5000台。コロナ禍で消費が低迷した昨年の同時期と比べれば17パーセント増となる。数字としては決して悪くないので、業界関係者は笑いが止まらないかと思えばそうでもないらしい。
2020年から2022年までの中古車取引の成長率は年平均5パーセント以上。業界自体が成長しているにもかかわらず、ほとんどの中古車ディーラーはあまりもうからなかった。昨年を見れば、新車の値下げ戦争の波及やコロナ禍による消費マインドの低下で、中古車価格は下落。中国自動車流通協会のデータによれば、中古車ディーラーの92パーセントが赤字を経験したという。供給過剰も背景にある。中古車の平均在庫日数は昨年初頭の37日から今年6月には57日まで延びた。
こうした中で、中古車取引仲介サイト大手「瓜子中古車」が新たな販売方式として導入を決めた「購入前の7日間試乗サービス」が、中古車取引を活気づける起爆剤になるのではないかと期待を集めている。事前の検査で問題ないと判断された中古車でも、実際に乗ってみると6台に1台の割合で何らかの問題が生じるという。エンジンの揺れや過熱、オイル漏れ、電子部品の故障など、購入者が実際に運転してから発覚することが多く、そのリスクは中古車の弱点でもある。
中古車の購入を考えたことのある人なら誰でも、「使い出してすぐに故障したらどうしよう」「事故車だったらどうしよう」などの不安に一度は駆られたことだろう。その不安こそが中古車購入をちゅうちょさせるわけだが、「購入前7日試乗」は確かにその心理的抵抗をぐっと小さくする効果が期待できる。
この「7日試乗」について、あるアンケートでは回答者の9割が中古車の品質に対する信頼度が大幅にアップするとして、業界全体で導入を進めるべきだと歓迎したという。
すでに自動車大国の仲間入りを果たした中国。だが、中古車分野について言えば、高い成長を維持しているもののいまだに発展途上。7日間の試乗サービスも、中古車売買の「先進国」ともいえる米国や英国では早くから導入されており、瓜子もこれに倣った形だ。
「過去10年間の年平均成長率が10パーセント程度で、中古車業界は、高い成長を維持している珍しい黄金業界」。瓜子の創業者、楊浩涌(Yang Haoyong)氏はそう指摘した上で、中古車業界の牽引(けんいん)に自信を見せる。
「時が経てば、中古車は車を買う消費者の主な選択肢になるだろう。中古車業界の発達しない国は、新車市場の発展も難しい」
この「7日試乗」販売で、はたして中国の中古車市場は活気づくか。注目だ。(c)東方新報/AFPBB News