気候変動対策での植林は「ナンセンス」か ゲイツ氏、議論に参戦
このニュースをシェア
■植林は本当に「ナンセンス」なのか
では、植林は本当に無価値なのだろうか。
そう結論付けるのは性急だ、とAFPに語ったのは、これまでに6500万本の木を植えたNGOアメリカン・フォレスト(American Forests)のジャッド・デーリー(Jad Daley)氏だ。
デーリー氏は「文字通り森だけで環境が守れるとは誰も言っていない」と述べ、ゲイツ氏の前提が間違っていると指摘した。
植林懐疑派は、再植林を必要とする地域で実施されている、慎重な調節を重ねた、原生種の植林プロジェクトの存在には目を向けず、構想が不十分な少数の計画ばかりをやり玉に挙げているとデーリー氏は主張する。
「こうした雑な批判は、再植林の大半が人の介入なしには再生できない森林を対象にしているという事実を無視している。われわれは炭素を吸収させるために、気が向いたからと所構わず木を植えて回っているわけではない」
懐疑派と支持派の橋渡しをしようという動きもある。英ロンドンのキュー王立植物園(Kew Gardens)は、草原や湿原への植林は避け、自然な再生を優先し、生命力が強く多様な木を選ぶことなどを提言している。
その上で同園は、誰もが賛同する原則、つまり既存の森林をまず守るということを強調した。「森の再生には100年以上かかる。だから新たな植林以前に、今ある森を守ることが肝要だ」 (c)AFP/Sara HUSSEIN