介入か放置か ジャイアントセコイア保護で議論二分 米国
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【10月1日 AFP】近年、大規模な山火事が発生している米カリフォルニア州で、貴重なジャイアントセコイアの森が大きな被害を受けている。樹齢1000年以上の木々に容赦なく襲い掛かる山火事は、森の環境そのものを永久に変えてしまっている可能性もある。
甚大な山火事被害を受け、米国立公園局(NPS)はある計画を進めている──育苗と植栽だ。人が手を差し伸べることで、ジャイアントセコイアの森の回復に弾みがつくと期待を寄せているのだ。
「目標は、山火事発生から数年以内に十分な植栽をすること。そうすることで、60年、100年、400年後にはまたそこに木々が並ぶことになる」と セコイア・キングスキャニオン国立公園(Sequoia and Kings Canyon National Parks)の資源管理を担当する科学者のクリスティ・ブリガム(Christy Brigham)氏は語る。
大きなものは高さ90メートルを超え、幹の直径は約9メートルにもなるジャイアントセコイア。中には樹齢3200年以上のものもある。ただ、かつては広く分布していたが、現在はカリフォルニア州のごく一部でしか見ることができない。
■気候変動と山火事への対応
ブリガム氏はジャイアントセコイアの森「レッドウッド・マウンテン・グローブ(Redwood Mountain Grove)」でAFPの取材に応じた。「見ての通り、セコイアは巨大で特徴的な古い木ですが、それが長い年月を生きてきた一つの個体であることにも気付く」と語る。
「これは、われわれが気候変動や森林管理についての行動計画を立てる際に長いスパンで物事を捉えるための視点をもたらしてくれる」
ジャイアントセコイアの森の現在の姿は、この二つの問題に取り組んできた結果そのものなのだ。
多くのジャイアントセコイアの森には、燃えずに残った小さな木と低木であふれている。これは、数十年わたって採用されてきた防火・消火方法によるところが大きい。
だが、人類が引き起こした気候変動の影響で、干ばつはここ10年で深刻化した。この森も乾燥し、非常に燃えやすい状況にある。
ジャイアントセコイアの繁殖には山火事が欠かせない。山火事は土壌を豊かにし、熱によって球果から種子が落ち、それが発芽するのだ。
ただ、NPSによると、2020年と21年の山火事はその規模が尋常ではなく、約1万4000本のジャイアントセコイアが焼失した。これは、全てのジャイアントセコイアの5分の1に相当する。