【10月4日 AFP】アイルランドの首都ダブリンの学校に勤務していたフランス人教師でナチス・ドイツ(Nazi)の親衛隊(SS)の一員だった男性から身体的虐待を受けていたとして、元生徒らが学校側に謝罪を求めている。地元日刊紙アイリッシュ・タイムズが3日、報じた。

 1922年生まれで2009年に死去したルイ・フートロン(Louis Feutren)氏は第2次世界大戦(World War II)中、悪名高いナチスの親衛隊に入り、ユダヤ人やフランスのレジスタンス(抵抗運動)戦闘員を捜し出す仏北西部ブルターニュ(Brittany)地方の民族主義者組織「ベゼン・ペロー(Bezen Perrot)」に所属していた。

 フートロン氏は戦後フランスで死刑判決を受けた後、1945年にアイルランドに逃れた。同国で大学の学位を取得し、1957年から1985年までダブリンのセント・コンレス・カレッジ(St Conleth's College)でフランス語を教えていた。

 フートロン氏の件をめぐり学校側に謝罪を求める書簡を取りまとめたウキ・ゴニ(Uki Goni)氏は、アルゼンチンの元駐アイルランド大使の息子で、1970年代に同校に在籍していた。

 アイルランドでは1982年に学校での体罰が禁止された。しかし、アイリッシュ・タイムズが報じたゴニ氏の書簡では、フートロン氏から身体的虐待を受けていたという元生徒らの証言が取り上げられている。このうちの一人は、フランス語の衣料品を表す単語を思い出せなかった時にクラスの生徒全員の前で衣服を脱いで裸になるよう命じられたとしている。

 ゴニ氏はフートロン氏を「モンスター」と表現し、「20世紀で最も邪悪で非道な組織、ナチス親衛隊の元将校で、おごり高ぶり、悔悟の念も見られなかった」と指摘。

 フートロン氏の雇用について現在の学校経営陣に責任はないが、「今も掲げている校名の下に行われていた行為については謝罪すべきだ」と主張している。

 学校側は今のところ本件についてコメントしていない。(c)AFP