【9月21日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は20日、国連安全保障理事会(UN Security Council)のウクライナに関する特別会合に出席した。常任理事国ロシアによる侵攻を「犯罪的」と非難し、拒否権を剥奪すべきだと訴えた。

 ゼレンスキー氏は「世界の大半がこの戦争の真実を認識している」「ウクライナの領土と資源の収奪を目的とした、ロシアによるいわれのない犯罪的な侵略だ」と述べた上で、「侵略者の手に拒否権があることで、国連は機能不全に追い込まれている」と指摘。

「この戦争を止めるのは不可能だ。どんなに努力しようと、侵略者と、侵略者を容赦する国々が拒否権を行使するからだ」と主張した。

 また、ロシアの拒否権は第2次世界大戦(World War II)の戦勝国である旧ソ連に属するものであり、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が率いるロシアに属するものではないというウクライナの立場を改めて示した。

 ゼレンスキー氏は「残念ながら、ロシアがソ連崩壊後の裏工作で不法占拠しているこの常任理事国の議席は、侵略とジェノサイド(集団殺害)をごまかすうそつきたちによって奪われたものだ」と指摘した。

 一方、ロシアが拒否権を「自発的に手放すことはない」として、拒否権の剥奪が極めて難しいことを認めた。

 だが、前例はある。中国の常任理事国の議席は1971年の国連総会(UN General Assembly)で、中華民国(台湾)から中華人民共和国に移った。

 ゼレンスキー氏が離席してから会場入りしたロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は拒否権剥奪案を一蹴。拒否権は西側の大国を抑止するためのものだと説明。

「拒否権の行使は(国連)憲章に定められた完全に正当な手段だ」と述べた。(c)AFP