■閉鎖や用途変更

 取材班が確認した施設のうち、10か所については、駐在スタッフや周囲のセキュリティー状況から、現在も使用されているものと見受けられた。

 一方、既に使用されていないとみられる収容施設も5か所あった。そのうちの一つはカシュガル(Kashgar)から車で約1時間の距離にあり、よくある団地のようだった。

 敷地内には似たような建物が並び、その間には、崩れかけた高さ3メートルの壁があった。

 ASPIのデータによると、壁は敷地内の4区画を仕切る形で2017年に設置された。区画内には収容施設とおぼしき新しい建物が建てられ、アクセスするには厳重に警備されたエントランスを通る必要があった。

 ASPIが収集した情報からは、ここの警備設備が撤去されたのは2019年以降だったことが確認できた。

 カシュガルから南西方向に1時間ほど車を走らせると、2棟の建物が道路を挟むようにして建っていた。ここは、用途が変わったとみられる収容施設7か所のうちの一つだ。

 対になった建物はそれぞれ鉄のフェンスで囲まれ、渡り廊下で接続されていた。

 ASPIによると、ここには「コナシェヘル-6(Konasheher-6)」と呼ばれる再教育施設が入っていたが、2019年に建物の使用目的が変わっている。

 低層のピンクと黄色の建物は、ごく一般的な学校校舎のようにも見える。隣接する運動場はきちんと整備されており、サッカー場や陸上トラック、バスケットボールコート、バレーボールコート、卓球台などが用意されていた。

「中国の夢を実現するために…一生懸命勉強しよう」と、生徒に向けたスローガンも掲げられていた。習近平(Xi Jinping)国家主席は、この「中国の夢」という言葉を好んで使う。

 用途変更が行われた施設としては、学校以外に、中国共産党幹部のためのトレーニングセンターといったものもあった。

 カシュガルのすぐ目と鼻の先にも施設は存在している。同市から南東にわずか数キロ。上部に電柵が張り巡らされた高さ5メートルの塀があった。

 隣接する静かな農村を見下ろすように設置された塀の外側には、工事現場から出たがれきが高く積み上げられている。一方、入り口ゲートから見える塀の内側には、整備された庭と建物が複数あった。

 警備員は、ここがかつて収容所だったことを認めた。しかし、「中にいた人はみんないなくなった」と話した。(c)AFP/Matthew WALSH