【9月5日 AFP】フランスのガブリエル・アタル(Gabriel Attal)国民教育相は5日、学校での着用禁止が発表されたイスラム教徒の服「アバヤ」について、新年度初日となった4日にアバヤを着用して登校した女子生徒が全国で合わせて約300人に上り、うち67人が着替えを拒否し下校したと発表した。

 アバヤはイスラム教徒の一部の女性が着用する、全身を覆うゆったりとした服。政府は先月、教育現場における世俗主義を定めた法律に反するとして、学校でのアバヤ着用を禁止すると発表していた。

 アタル氏はニュース専門テレビ局BFMに対し、下校させた女子生徒には「世俗主義は制限ではない、自由だ」と記した家族宛ての手紙を持たせたと明かすとともに、生徒が再びアバヤを着て登校した場合には「新たな話し合い」が持たれると説明した。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領も、物議を醸しているこの措置を擁護している。

 4日夜にユーチューブ(YouTube)上で公開されたインタビューでマクロン氏は、2020年にイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を生徒に見せた教師のサミュエル・パティ(Samuel Paty)さんが殺害された事件に言及。

 マクロン氏は、国内に「宗教を乗っ取り、共和制と世俗主義に挑む少数派」が存在することが、パティさん事件に象徴される「最悪の結果」につながっているとの認識を示し、「パティさんが殺害されたあのテロ攻撃がなかったかのように振る舞うことはできない」と訴えた。

 フランスでは2004年3月に施行された法律で、校内で「児童・生徒が自身の宗教を表立って示すシンボルや衣服の着用」が禁じられた。キリスト教の大きな十字架やユダヤ教徒のキッパ(帽子)、イスラム教のヘッドスカーフなどが対象となったが、アバヤはグレーゾーンにあると受け止められ、これまで厳しい禁止措置は講じられてこなかった。(c)AFP