【9月3日 CGTN Japanese】中国国営の中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ、CMG)が国内の博物館と共同でリリースした文化・歴史系カレンダーアプリ「文博カレンダー」は30日、中国南東部の江西省博物館が所蔵する前漢時代(紀元前202~8年)の文化財「青銅染炉」を取り上げました。2000年以上前の前漢時代に中国の貴族が宴席で1人分ずつ盛り分けて出された料理を楽しんだ場面が想像できます。「染炉」は当時の「一人鍋」といえます。

 この「青銅染炉」は、江西省南昌市の海昏侯・劉賀の墓から出土したものです。染炉は、盤、炉、一対の取っ手が付いた耳杯の三つの部分から成ります。染炉は、前漢中後期の墓で発見されることが多く、幅広い地域に分布し、湖南省や河南省、山西省、江西省などで出土しています。ある染器に刻まれた「清河食官」という銘文から、この種の器物は宮廷の膳立てを取り仕切る食官が管理していたもので、古代の飲食器具の一つと推測されています。

 前漢の貴族は宴会で、まず耳杯に調味料などを入れ、下の炉で加熱してから、ゆでた肉を耳杯に入れて調味料をたっぷりつけて食べます。火で温めながら食べ、「味を染みさせて食べる」前漢貴族の「一人鍋」です。

 これまでに出土した染炉の高さはだいたい10~14センチです。この高さの「一人鍋」は、床に座って1人分ずつ盛り分けて食べるという漢代の食事スタイルに合ったものです。

 当時の貴族は宴会を催す際、食べ物を案(長いテーブル)や筵(むしろ)の上に置きます。参加者は着席して食べます。現在の「宴席」や「酒席」などの言葉はこれに由来するとされています。漢代の墓から出土した画像石には、人々が床に座り、1人分ずつ案を据えるという飲食の場面がよく登場し、当時の人々の食習慣を生き生きと再現しています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News