【8月18日 AFP】フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)元大統領が、ロシアによるウクライナ侵攻を終結させる方法として被占領地域における新たな住民投票に言及し、ウクライナやフランス国内からの反発を招いている。

 サルコジ氏は16日、仏保守系日刊紙フィガロ(Le Figaro)に対し、「ウクライナ人は不当に奪われた領土を取り返したいだろう」「だが、完全に成し得ないのであれば、凍結された紛争(紛争は解決していないが、戦闘は収まっている状態)か、国際社会の厳正な監視下での住民投票という正攻法か、どちらかを選択するしかないだろう」と述べた。

 特に2014年にロシアが併合したクリミア(Crimea)半島については「以前の状態に戻るというのは幻想だ」と指摘した上で、「現状を確固たるものにするためには、議論の余地を生まない住民投票が必要になる」と主張した。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領については、2008年の南オセチア(South Ossetia)紛争の際に自身が「ロシアの戦車隊を撤退させるよう説得した」ことを引き合いに出し、「非合理的な人物ではなく」、欧州が適切な外交を通じて接触することは可能だと述べた。

 さらにウクライナについては、「中立」を維持すべきであり、欧州連合(EU)にも北大西洋条約機構(NATO)にも居場所はないとの見解を示した。

 ウクライナ側は即座にこの発言に反発した。ミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領府顧問は「犯罪者の論理」に基づく発言であり、「誰かが怖いから、犯罪者と親しいからといって、他国の領土に口出しする権利はない」と批判。さらに、サルコジ氏は在任中に「ロシアによるウクライナ領奪取という犯罪に意図的に加担した」と糾弾した。

 サルコジ氏の発言はフランス国内でも非難を浴びた。緑の党幹部のジュリアン・バイユ(Julien Bayou)議員は仏ニュース専門局LCIに対し、サルコジ氏は「ロシア側のインフルエンサーも同然」であり、このインタビューは「常軌を逸して」いて「衝撃的」でさえあると批判した。

 サルコジ政権で情報顧問を務めたジェローム・ポワロ(Jerome Poirot)氏もLCIに対し、サルコジ氏の発言は「恥知らずだ」と語った。

 一方、ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領はサルコジ氏の発言を「正確であると同時に大胆だ」と歓迎した。(c)AFP