【8月17日 東方新報】中国・北宋時代の名画「清明上河図」の世界を最新技術で体験する。そんなアートイベント「画遊清明上河-故宮没入型芸術展」が、中国西部・重慶市(Chongqing)両江区(Liangjiang)の礼嘉スマート公園で開かれている。

 清明上河図は、宮廷画家の張択端(Zhang Zeduan)が北宋の都・開封(Kaifeng)を描いた作品。汴河(Bian River)の流れに沿って、庶民の暮らしが衣食住に至るまで細かに描かれている。全長約5メートル、縦24センチの空間に800人以上が登場する精密な都市風景は同時代の西洋にもほとんどなく、「神品」とたたえられている。実物は北京市の故宮博物院(The Palace Museum)に所蔵されている。

 礼嘉スマート公園では、5万枚以上の精密な手描きアニメにより再現した清明上河図を、壁や地面に投影。8Kの超高精細テレビ技術や、ゴーグルを必要としない裸眼3D技術、ホログラフィー技術によって絵の中の登場人物が動き、夜になると船が明かりをともす。市民たちは実物の清明上河図よりはるかに大きい壁絵に見とれ、地面の上をゆらゆらと動く光を子どもたちが追いかけている。

 壁と床に画像を投影するCAVE式シアターでも清明上河図の世界を立体的に表現。来場者はまさに名画の登場人物のような体験を堪能している。

 アートイベントでは、清明上河図に描かれた酒楼(レストラン)「孫羊店」も再現。建物の壁に1000年前の店舗イメージを投影し、北宋時代の服装をした店員が料理を運ぶ。来場者は神品の世界に没入した感覚を味わっている。

「中国初のスマート公園」といわれる礼嘉スマート公園は、無人乗用車が往来し、ロボットがコーヒーをいれるなど、至る所で最新技術が展示されている。拡張現実(AR)太極拳、仮想現実(VR)サッカー、5G自転車レースなど、多彩な体験ができる。中国が誇る名画の世界を最先端技術で再現するイベントも、スマート公園の特色を表しているといえる。

 真夏は最高気温が40度を超え、「中国3大かまど」の一つといわれる重慶。市民は夏の夜に1000年前の世界に浸り、厳しい暑さをしばし忘れている。(c)東方新報/AFPBB News