「アザラシと共に生きている」 再評価望むカナダの猟師たち
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■アザラシと魚類資源量の相関関係
活動を続ける狩猟従事者の中には、アザラシ猟が相応の評価を得るべきだと考える人もいる。アザラシの天敵はあまり多くないため、狩猟を行わないと個体数が急激に増加してしまうという考えがその背景にある。
狩猟賛成派は、アザラシはさまざまな種類の魚を餌とし、成体は一日に数キロの魚を消費するため、これが島民の主要な収入源を圧迫していると主張する。
漁師のギスラン・シルさんは「セントローレンス湾に生息するハイイロアザラシの個体数と、餌として消費される魚の量を考えればそこに問題があることはすぐ分かる。水産資源が増えていないという問題だ」と語る。
カナダ漁業海洋省の海洋哺乳類専門家であるサイモン・ナドー(Simon Nadeau)氏も、1970年代以来アザラシの個体数は爆発的に増えていると指摘する。だが「増えすぎということではない」とも念を押す。
政府のデータによると、1970年から2019年までの間にタテゴトアザラシの個体数は約4倍に増え、推定760万匹となった。1960年に5000匹だったハイイロアザラシの個体数も2017年には4万4000匹にまで増えた。
その一方で、カナダ大西洋沿岸の水産資源は記録的な低水準にある。
これについてナドー氏は、アザラシの増加と水産資源の減少との相関関係は容易には説明できないと指摘する。特に近年の地球温暖化と乱獲の影響で生態系全体が変化していることを考慮すると断定は難しいと言う。
その上で「アザラシは水産資源の減少に影響を及ぼしているかもしれないが、それを引き起こしたわけではない」と述べ、特定の魚類の個体数回復を阻む要因のひとつであることは認識しているとした。(c)AFP/Marion THIBAUT