【8月15日 AFP】山火事が発生し、甚大な被害が出た米ハワイ州マウイ(Maui)の古都ラハイナ(Lahaina)。中心部の公園にはバニヤンの巨木があり、普段は観光客でにぎわっているが、今は焼け焦げたがれきや動物の死骸が山に積まれている。

 ラハイナ中心部の部屋に住んでいたアンソニー・ガルシアさん(80)は、山火事が街を飲み込んでから3日間、公園の片付けを続けていた。

「こんなことを神が許したなんて信じられない」とAFPに話す。

 元々はカリフォルニア州で暮らしていたガルシアさんは、1993年に休暇でラハイナを訪れ、その時に移住を決めたという。だが、今回の山火事ですべてを失ってしまった。

 人々の心のよりどころであり、安定の象徴でもある巨大なバニヤンの木の下に座り、「この木は1世紀以上ここに立っていた」と説明する。

「あっちにはラハイナの最初の裁判所。その向こうにはパイオニア(Pioneer Inn)がある。1901年に開業したハワイ最初のホテルだ」

 まだ水平に伸びてはいるが、バニヤンの枝は黒くすすけている。その下には、ガルシアさんが公園の片づけで拾い集めたがれきや動物の死骸が山に積まれている。

 多くの人にとって、がれきと化したこの町にとどまる理由はない。

「でも自分はここに残る。他のどこにも行きたくない。復興を手助けしたい」と海を見つめながらガルシアさんは話した。

「この場所はたくさんの喜びをくれた。自分を幸せにしてくれた」

「だから私はやり直したい。もう一度やらないと」 (c)AFP/Paula RAMON