【9月1日 CGTN Japanese】国際学術誌「サイエンス」は北京時間の8月4日、中国科学院寧波材料所マルチフェロイック材料デバイスチームによる最新研究成果をまとめた論文を掲載しました。同チームは弾性回復と強誘電性を兼ね備えた新型マルチフェロイック高分子複合材料を開発し、強誘電体がウェアラブル分野においては、大きく変形した状態では安定した性能を維持することが難しいという従来の難題を世界に先駆けて効果的に解決しました。

 論文の執筆者で、中国科学院寧波材料所の胡本林研究員によると、強誘電体は記憶機能を備えた、一種の変わった絶縁性機能素材で、元の電場が作用しなくなっても、配列後の電荷は元の状態を維持して変化しない特性があるため、コンピューターメモリや高精度モーター、超高感度センサーやソナーなどの電子製品に用いられ、携帯電話やタブレットなどの電子機器にも欠かせない材料の一つです。

 近年、フレキシブルなウェアラブルデバイスは携帯型モバイル電子機器や人の動作測定などの分野での幅広い応用が見込まれており、広く注目されています。そのため、フレキシブルウェアラブルデバイスの製造にとって、重要な素材の一つとなる強誘電体の強弾性研究も急ピッチで進められています。

 中国科学院の研究チームが「弾性強誘電体」という画期的なコンセプトを打ち出したことは、これにより、強誘電体材料の強誘電性と強弾性のバランスを維持し、高周波や大きなひずみの下でも良好な強誘電性を持つ弾性材料の調整を可能にします。なお、同材料のヤング率(引張弾性率)は125%に達しています。

「サイエンス」誌の査読者は、「驚嘆すべき仕事で、この分野において節目となる大事件であり、『弾性強誘電体』という学科の新たな方向性を切り開いた」と評価しています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News