「音楽が救ってくれた」 アイルランド象徴する歌手シネイド・オコナーさん
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■論争
1992年の米人気コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ(Saturday Night Live)」でのパフォーマンスは国際的な論争を巻き起こした。
白いドレス姿でボブ・マーリー(Bob Marley)の「ウォー(War)」を歌ったオコナーさんは児童虐待への抗議として、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)の写真を破り捨て、「本当の敵と戦え!」と言い放った。このころ、アイルランドのカトリック教会司祭による児童虐待はまだあまり知られておらず、大きな批判を巻き起こした。
米ニューヨークでは所属レコード会社の建物の前で、オコナーさんのCDやカセットテープの山をローラーで押しつぶす抗議行動も起きた。この事件はその後の人気とアルバムセールスに影響した。
1990年代半ばには、幼い娘をめぐる元パートナーとの親権争いなど、音楽以上に私生活が注目されるようになり始めた。
■SNSでの吐露
オコナーさんは4度結婚した。1987年に出産した長子から、2006年誕生の末子(すえこ)まで4人の子どもがいた。
奇抜な発言も多かった。11年にはアイルランドの日刊紙アイリッシュ・インディペンデント(Irish Independent)のコラムで、恋愛体験がひどすぎて「無生物が魅力的に見えてきた」と書き、パートナー候補を募集した。
14年のアルバム「アイム・ノット・ボッシー、アイム・ザ・ボス」は好評だったが、15年半ばには疲労を理由にツアーを中止した。
ソーシャルメディアでは、かつての仲間に対する訴訟の脅しや身体的・精神的な健康不安、家族や子どもたちとのトラブルなど、私生活での辛さを吐露するような投稿が増えていった。
15年11月にはフェイスブック(Facebook)への投稿で、匿名でホテルに宿泊中、「薬物を過剰摂取した」と書き込んだが、警察によって無事発見された。翌年6月にも、オコナーさんが米シカゴ市内の橋から飛び降りるという情報で警察が動く騒ぎがあった。
18年にはイスラム教に改宗し、「シュハダ・サダカット(Shuhada' Sadaqat)」と改名した。
晩年はアイルランドと英国を行き来していたとされる。昨年は息子のシェーンさんが17歳で自殺している。(c)AFP