【7月26日 AFP】中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は25日、秦剛(Qin Gang)外相(57)を解任し、後任に外交トップで前外相の王毅(Wang Yi)共産党政治局員を充てる人事を決定した。国営新華社(Xinhua)通信が伝えた。秦氏はここ1か月間、動静が不明でさまざまな臆測を呼んでいたが、解任理由は明らかではない。

 秦氏は習近平(Xi Jinping)国家主席の信頼が厚いとされ、昨年12月、王氏の後任として外相に抜てきされた。しかし、6月25日の北京でのロシア外務次官との会談を最後に、公の場からは姿を消していた。

 インドネシアで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議を欠席した際には、「健康上の理由」と説明された。秦氏は香港メディアの女性記者との不倫関係をめぐり当局の調査を受けている、との見方も出ている。

 25日の新人事発表前に秦氏の動静について問われた外務省報道官は記者団に対し、「情報はない」と答えていた。

 米シンクタンク、アジア・ソサエティー政策研究所(Asia Society Policy Institute)のニール・トーマス(Neil Thomas)氏はただ、秦氏が「上級職である国務委員の座にとどまる」点を指摘。「100%更迭とは言い切れない」としている。

 インドのタクシャシラ研究所(Takshashila Institution)の中国専門家、マノジュ・ケワルラマニ(Manoj Kewalramani)氏もAFPに、秦氏が国務委員にとどまることについて「習近平(国家主席)に近いことの産物である可能性がある」と分析。

 さらに、「彼(秦氏)が(外相としての)激務から外されたのは職務内容への低評価や規律違反に伴うものではなく、健康上の問題が原因だったことを示唆しているかもしれない」と語った。(c)AFP