■生息数9割減少の予測も

 世界気象機関(WMO)のペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は「新たなエルニーニョ現象により、(中南米やカリブ海地域で)気温を上昇させ、より極端な気象状況が発生するだろう」と警告している。

 WMOは「さらなる気温上昇と激しい降雨」という形で、気候変動がエルニーニョ現象による影響を増幅させる可能性があるとしている。

 ガラパゴス諸島の生物は、気候の周期的変動に対応してきたが、変動が頻繁に起きたり、極端過ぎたりすれば、生息数の回復に悪影響を与えかねない。

 オスのウミイグアナは最大約1.3メートル、メスはその半分ほどに成長するが、エルニーニョ現象に伴う餌不足により、体長が5センチ程度縮んだことが記録されている。

 ルエダ氏によれば、ガラパゴス諸島には約45万匹のウミイグアナが生息している。IUCNは、エルニーニョ現象の影響が大きい場合、その数は90%減少する恐れがあるとみている。

■打つ手なし

 ウミイグアナは水深12メートルまで潜水でき、1時間にわたって海中にとどまることができる。とはいえ、NGOのガラパゴス保全協会(Galapagos Conservancy)のワシントン・タピア(Washington Tapia)代表は「食べ物を求めて海を長距離泳ぐことはできない」と説明する。

 海藻が減少すれば、ガラパゴス諸島にすむ鳥やアシカなど他の生物の餌となる魚の減少にもつながる。エルニーニョ現象は、太平洋に多量の降雨をもたらし、カメの巣を浸水させ、卵を洗い流す可能性もある。

 ルエダ氏は「自然現象であり、(エルニーニョ現象)に対する予防的な措置は持ち合わせていない」とし、「できるのはエルニーニョ後の個体群を数え、どのような影響が出たのか調べることだけだ」と話した。(c)AFP/Carlos MANDUJANO