名水の地、資源枯渇の危機 フランス
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【7月2日 AFP】ミネラルウオーターで世界的に知られるフランス中部ボルビック(Volvic)で公共の噴水が止められるなど、同国では水危機が現実のものとなっている。
食品・飲料大手ダノン(Danone)傘下のミネラルウオーターブランド「ボルヴィック」のボトリング工場。近くには小川が流れている。かつては製粉所の水車を回せるだけの流量があったが、今や干上がりつつあり、周辺の村々では屋外での水道使用が制限されている。
水資源保護団体プレバ(PREVA)の責任者、シルビー・ドラルジエール(Sylvie de Larouziere)氏は、工場を指さし、「拡大を続けているように見える」と語った。
17世紀に造られたマスの養殖場を経営しているドラルジエール氏は、養殖池に水を供給していた小川が突然干上がったとして、ダノンを相手取り提訴した。
ボルビックが位置するピュイドドーム(Puy de Dome)県は、フランスの「給水塔」とも呼ばれ、豊富な降水量で知られる。ところが今年5月初旬、水源からの取水量が急減。そのため当局は31地区を対象に、屋外での水道使用を制限したほか、プールの貯水を禁止した。
ボルビックの公共の噴水も止められ、村民は、今夏は給水制限が導入されるのではないかと懸念している。
潤沢な水資源を誇っていた地での供給制限は、国全体での水不足問題や、水を求めての競争の激化を浮き彫りにしている。
クリストフ・ベシュ(Christophe Bechu)環境・国土結束相は6月14日、国内の3分の2の地域で地下水面が通常よりも低下しているとし、「非常に懸念している」と述べた。
フランスの巨大なミネラルウオーター業界の将来にも、疑問が投げ掛けられている。
フランスはミネラルウオーターの世界最大の輸出国であるとともに、「ボルヴィック」「エビアン(Evian)」「ヴィッテル(Vittel)」「ペリエ(Perrier)」といった、世界的なブランドの拠点でもある。
これまで数十年にわたり、専門家は気候変動や人口増加、過剰消費に伴う世界的な水供給逼迫(ひっぱく)のリスクについて警告してきた。
フランスでは今冬、1月21日から2月21日までの32日もの間、降雨がなく、雪を冠するピレネー山脈の麓の村々ですら、給水車に頼らざるを得ない状況に陥っている。そして昨夏は、猛暑に見舞われていた。
エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は「(水が)豊かな時代は終わった」と宣告した。