【6月27日 CNS】中国の若者たちは、苔テラリウムの植物ブームに熱中している。

 苔テラリウムは、苔、シダ、アミメグサ(網目草)などの日陰に強い植物を砂や石、置物と組み合わせ、透明容器に入れる一種のミニ盆栽だ。

 従来、苔は暗く湿った生活環境を連想させるものだったが、今では限られたスペースで独特の美を創造し、苔が丁寧に育てられ、若者の生活に小さなサプライズをもたらす存在となっている。

「忙しい都市生活の中で、人びとは自然に触れたいと願っている。屋内における植物景観のミニチュア化の発展傾向はますます顕著であり、特に自然で創造性に富んだ苔テラリウムが若者に最も人気がある」と、湖南省植物園(Hunan Botanical Garden)の黄文韜(Huang Wentao)シニアエンジニアは述べた。愛好家たちは、リビングルームやベッドサイドテーブル、オフィスデスクなどに苔テラリウムを置くことを好む。中にはナイトライトをつける人もおり、夜になると苔テラリウムは夜の自然の一部となる。

 現在、経験豊富な愛好家の多くが作品をシェアし、苔の育て方や知識を普及させている。中国のベテラン苔愛好家の楊帆(Yang Fan)さんは、シロシラガゴケを使って30本近くの苔テラリウムを作成した。「他の緑色植物と比べ、苔はより小さく、人びとは身をかがめて注意深く観察するものだ。苔は水が不足すると休眠状態に入るので、長い間水やりを忘れても死ぬことはない。最も一般的なシロシラガゴケは1箱約5元(約99円)で購入できる。私は7年間苔を育てているが、かけたお金は6000元(約12万円)にも満たない」と、楊さんは述べた。

 また楊さんは、最近、中国では苔テラリウムの装置や新技術が急速に発展し、エコボトルや苔用の補光灯の種類も増えているため、愛好家たちはよりハードルが高く、創造性に富んだ苔テラリウムに挑戦したくなっていると述べた。例えば、一部の愛好家は高品質のコケ、青竜石、ホウケイ酸ガラスを使い、質感ある金属の緊箍児(きんこじ)と如意棒を組み合わせ、「西遊記」の五指山のシーンを再現している。その造形は非常にユニークだ。

 中国のオンライン上では、苔テラリウムに関連するトピックの閲覧数が億単位に達している。現在、アリババ傘下のECサイト淘宝(タオバオ、Taobao)、共同購入ECプラットフォームの拼多多(Pinduoduo)、中国最大手のSNS「微信(ウィーチャット、WeChat)」を利用して販売や宣伝を行う新しいデジタルビジネス「微商(Weishang)」などの中国の電子商取引プラットフォームには、苔および関連製品を販売する多数の事業者がおり、彼らはライブ配信やショートビデオなどの方法でプロモーションを行っている。

 95後(1995〜1999年生まれの人)で苔愛好家の薛子鑫(Xue Zixin)さんは、苔テラリウムは中国の若者に新しい起業の機会をもたらしていると述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News