【7月22日 AFP】殺人の罪で刑事施設に収容されていたツァオ・ヨンシェンさん(56)は現在、納棺師として生計を立てている。中国国内の民間団体による、元受刑者を対象とした更生支援プログラムの適用を受けたのだ。

 中国では、こうした支援は決して当たり前ではない。支援が受けられないため社会復帰に必要な技能を習得できず、また根深い差別もあり、犯罪を繰り返したと語る元受刑者は多い。

 1人を殺害、2人を負傷させた罪で17年間服役していたツァオさん。納棺師の職については「死者に安らぎを与える」とともに、「犯した罪を償える」と話す。

「精神的に許しを得ているようなもの」と、北東部瀋陽(Shenyang)の葬儀社でAFPに語った。

 英ロンドン大学(University of London)が提供する、世界の刑事施設に関する情報を集めたデータベース「世界刑務所概要(World Prison Brief)」によると、中国国内の受刑者数は約170万人。これを上回っているのは米国のみだ。ただ再犯件数については、中国政府は情報を定期公表していない。

 ボランティア団体によるこのプログラムでは、納棺師として再出発できるよう、技能訓練と経済的な援助を提供する。まっとうに生きるための手段が与えられるのだ。

 更生プログラムを提供している団体「Mama Waves You Off to Heaven」は、重罪で収容された元受刑者への支援に的を絞った試みは他にはないと説明する。中国では10年以上刑事施設に収容されるケースを重罪とすることが多い。

 プログラムの最初期の対象者の一人であるツァオさんは、安定した職と収入を得ることができるようになった上、地域社会の一員となり、結婚相手を見つけることもできた。

 同じく元受刑者の同僚が忙しく動き回るのを横目に、「自分の人生において大きな転換点となった」「このプログラムがなければここにはいなかったかもしれない」と語った。

 プログラムは5年前に立ち上げられた。これまでに50人以上の元受刑者が納棺師としての訓練を受けたという。

 Mama Waves You Off to Heavenでは、出所者同士をペアにして訓練を施し、仕事を軌道に乗せるための資金援助を行っている。