【6月22日 AFP】来月開幕するテニスのウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2023)では、人工知能(AI)を活用した取り組みが行われる。主催者は、少なくとも今のところ線審は安泰だとしつつ、将来は不透明だと話した。

 男子プロテニス協会(ATP)は4月、「大会全体の精度と一貫性を最適化する」ため、2025年から線審を自動判定テクノロジーに完全に置き換えることを発表した。

 そうした中、ウィンブルドンを主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)で、テクノロジー部門の責任者を務めるビル・ジンクス(Bill Jinks)氏は、「2023年は間違いなく線審がいる」と断言した一方、「将来どうなるかは誰にも分からない」と長期的な保証はできないと述べた。

 AELTCと米コンピューター大手IBMは21日、今年のウィンブルドンで採用される新しいAI機能を発表し、大会のウェブサイトやアプリで見られる試合のハイライト動画で、生成AIを使った音声解説が提供されることになった。

 IBMの英国法人でスポーツパートナーシップの責任者を務めるケビン・ファーラー(Kevin Farrar)氏は、今回の目的は全試合に解説機能を拡大することだとし、人間の意見を取り入れる余地は残されていると強調する。

「ジョン・マッケンロー(John McEnroe)の解説を置き換えることはできない。そうした人間の要素は残す必要がある」とファーラー氏。

 あくまで現在解説がないジュニアや車いすの部などの試合にも解説をつけることが目的だとし、AI活用は「人間の要素を置き換えるというよりも、補完するということだ」と語った。(c)AFP/John WEAVER