【6月20日 AFP】フランス北西部ブルターニュ(Brittany)地域圏の沖合に浮かぶイルドブレア(ブレア島、Ile-de-Brehat)。本土から船で約10分で行ける島は人気の観光地となっているが、島民数の15倍もの観光客が訪れていることから「オーバーツーリズム(観光公害)」対策として今夏、旅行客の受け入れを制限すると発表した。

 オリビエ・カレ(Olivier Carre)村長は先週、7月14日から8月25日までの日帰り客の数を1日最大4700人に制限する条例を出した。

 島の人口はわずか377人。しかし、調査会社リトマティック(LittoMatique)によると、年間の訪問者数は45万人で、春から夏には多い時で1日最大6000人近くが訪れる。

 カレ村長は、繁忙期にはごみの量が10倍に増え、「地元では対処できない」と説明した。

 島は、絶滅危惧種の生息地を保護して生物多様性を促す欧州連合(EU)の保全ネットワーク「ナチュラ2000(Natura 2000)」にも加わっているが、観光客が押し寄せて道が踏み荒らされ、保護区にも影響が出ている。さらに、混雑によって観光客の満足度自体も急激に低下しているとの調査結果もある。

 首都パリの観光局は、今年の観光客はパリだけで3700万人を上回り、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準までほぼ回復すると予想している。

 フランス観光連盟は今年、観光客の80%が国内のわずか20%の地域に集中していると指摘。旅行会社などに対し、観光客を分散させる方法として、知名度の低いスポットの紹介や、1日当たりの旅行客の受け入れ制限、チケットの予約販売、料金の値上げなどを推奨している。(c)AFP