【5月31日 AFP】白い砂浜に青い水面が広がるトルコの湖。米航空宇宙局(NASA)はここに火星の秘密が隠されていると考えているが、知名度が上がりすぎることは湖自体を脅かす恐れがある。

 トルコ南西部にあるサルダ湖(Lake Salda)が世界的に有名になったのは、今年2月から火星の映像を地球に送信しているNASAの火星探査車「パーシビアランス(Perseverance)」ミッションの準備段階で、米国の科学者らが湖周辺の調査を開始したことがきっかけだった。

 NASAのジェット推進研究所(JPL)は火星着陸に先立ち、手つかずの自然が残るサルダ湖の写真を公式サイトに掲載し、数十億年前の「水が豊富にあった」火星の姿に似ているかもしれないとさえ述べた。

 面積4370ヘクタールのサルダ湖は現在、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領が推進する公共緑地の拡張計画に組み込まれている。

 だがこのニュースは、地元の環境保護活動家や法律家にとっては災いとなっている。NASAとエルドアン大統領の関心という二重の効果で、せきを切ったように人が押し寄せることが懸念されるからだ。

 大勢の観光客が湖で水遊びをすれば、そもそもサルダ湖を特別な存在にしている生態系そのものが破壊されるかもしれないと活動家らは警鐘を鳴らす。

 サルダ湖保全協会(Lake Salda Preservation Association)代表のガジ・オスマン・サカール(Gazi Osman Sakar)氏は「人が詰めかければ、湖の未来が危機にさらされる」と話す。