【6月16日 AFP】イスラエルが55年以上前に破壊したエルサレム旧市街のモロッコ人居住区「ムグラビ(Mughrabi)地区」が、15日にリリースされた携帯アプリによって3DCGに再現されようとしている。

 エルサレム旧市街の「嘆きの壁(Western Wall)」の前にあったムグラビ地区は、十字軍(Crusaders)を破ったサラディン(Saladin)が1187年に建設した。

 だが、1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)で東エルサレムを占領したイスラエル軍は、わずか数時間で100棟以上の建物を破壊。約1000人いた住民を追放してイスラエル人の入植を開始した。

 国連(UN)は違法な併合だとして非難している。

 フランスの歴史家バンサン・ルミール(Vincent Lemire)氏は「嘆きの壁の前にいる観光客の99%は、この歴史について何も知らないだろう」とAFPに語った。

 ルミール氏はイタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学(University of Modena and Reggio Emilia)と協力し、「ムグラビ地区を散策できる没入型アプリ」を開発した。3D技術によって、より多くの人に「この地区の歴史を伝えることができる」という。

 この計画は、約60人の研究者による「オープン・エルサレム(Open Jerusalem)」と呼ばれる大規模プロジェクトの一環。同プロジェクトは今週、エルサレムの歴史に関する約4万件の文書から成るアーカイブを12か国語でオンライン公開した。(c)AFP