【6月10日 AFP】イタリア・ローマ北方の地下に埋もれた古代都市の輪郭がこのほど、初めて明らかになった。地中の探査には四輪バイクとレーダーガンが用いられた。

 今回の調査でその全貌が明らかにされたのは、テベレ川(Tiber river)渓谷に位置する古代ローマの都市「ファレリ・ノビ(Falerii Novi)」の遺跡だ。この遺跡は、長きにわたり地中に埋もれていた。

 調査に当たった英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)とベルギー・ゲント大学(Ghent University)の研究チームは、失われた古代都市の精密な立体(3D)画像を作成するために、地中探知レーダーと衛星測位システムを利用した。

 9日の英考古学専門誌「アンティクイティ(Antiquity)」に掲載された研究成果は、古代ローマの建築と都市計画についての理解を深めることになる。これまであまり進んでいないとされる研究分野だ。

 論文の執筆者の一人、マーティン・ミレット(Martin Millett)教授はAFPの取材に、地中探知レーダー(GPR)技術が都市全体の地図作成に利用されたのは今回が初めてだと語った。

■全体像

 従来の発掘調査と磁気測定などの2次元地図作成技術は、言うまでもなく、古代ローマ都市の外観に関する手掛かりを数多くもたらしてきた。だが、こうした従来の調査技術では、都市がどのようにレイアウトされているかを鳥瞰(ちょうかん)的に把握することは不可能だ。

 現代のローマにほど近いファレリ・ノビは、約1300年前に地下に埋没した。紀元前241年に築かれたと考えられているこの都市は面積が約0.25平方キロで、中世前期の紀元700年ごろまで人が居住していた。

 得られた3D画像では、複数の神殿、行政機関の建物、公衆浴場の複合施設や、公共モニュメントとみられる列柱通路などがあることが分かる。近隣のローマに比べるとはるかに小規模だが、それでもファレリ・ノビの都市レイアウトは「小都市で通常予想されるよりも入念に計画されている」と、論文の執筆者らは指摘している。

 さらに今回の調査では、近代都市とそれほど違わない複雑な送水管システムが構築されていたことも明らかになった。

 こうした設備についてミレット教授は、「遺跡の中で確認できる給水設備は、都市開発の非常に早期に配置されたに違いない」「これにより、水についてだけでなく、都市計画がどのように構想されたかについても知ることができる」と説明している。(c)AFP/Phineas RUECKERT