【6月14日 AFP】フランス当局は13日、ロシアがウクライナ侵攻をめぐり世論を操作する目的で、仏メディアの記事を装った虚偽ニュースなどを発信する大規模な情報作戦を行っていると発表した。

 カトリーヌ・コロナ(Catherine Colonna)欧州・外務相は、「国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国としてふさわしくない行動」と非難。「ロシアが主導するハイブリッド戦争に打ち勝つために、パートナー国と緊密に連携している」と述べた。

 仏当局は数年前からアフリカのフランス語圏、特にロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)の活動地域におけるロシアの世論操作作戦に警鐘を鳴らしてきた。

 コロナ氏によると作戦は、主要メディアや政府のサイトを装った偽のウェブページや、ソーシャルネットワーク上に作成した偽アカウントで展開されている。

 これまでに仏紙パリジャン(Le Parisien)、フィガロ(Le Figaro)、ルモンド(Le Monde)、バン・ミニュット(20 Minutes)の4紙に加え、独紙フランクフルター・アルゲマイネ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)、ビルト(Bild)、独誌シュピーゲル(Der Spiegel)が標的にされている。

 例えばルモンドのウェブサイトを模した偽サイトには、「フランスの閣僚がウクライナでのロシア兵殺害を支持」といった虚報が掲載された。
 
 コロナ氏によると、仏外務省は同省の偽サイト作成の試みを自ら阻止した。各地のロシア大使館やロシア関連の文化施設がこの作戦に「積極的に」参加していると指摘している。

 この作戦では、ユーザーのURLの入力ミスを利用して偽サイトへ誘導する「タイポスクワッティング」と呼ばれる手法が使われている他、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の風刺画や親ロシア派の見解の流布なども行われている。
 
 当局は、西側諸国のウクライナ支援に打撃を与えるのがロシアの狙いだと警告している。(c)AFP/Delphine TOUITOU / Fabien ZAMORA