■「フェミニストの先駆けかどうかは分からない」

「男性がいない間は、私たちが働くしかなかった。生きるためにはそれしかなかった」と、オリンポス近郊のアブローナ(Avlona)村で、アンナ・レンタキスさん(67)はアーティチョークを摘みながら昔を振り返った。

 数年前までオリンポスで経営していた飲食店は、40代の長女マリーナさんが引き継いでいる。

 マリーナさんは、「この村の女性たちがフェミニストの先駆けだったかどうかは分からない」と言う。

 娘のアンナさんはまだ13歳だが、いずれ先祖代々の財産を引き継ぐのは自分であることを分かっている。「おばあちゃんの遺産だから、自分が任されるようになったら誇りに思う」と話した。

 しかし、「フェミニスト」的な相続制度の恩恵を受けるのは長子のみだと、ジュネーブ地理学会(Geographical Society of Geneva)のアラン・ジャブロー(Alain Chabloz)氏は言う。

「下の息子たちは島から出ていくことを余儀なくされ、下の娘たちは高齢者の世話をするため島にとどまらなければならなかった。一種の社会的なカースト制度だ」と指摘する。

 末っ子で独身のヨルイーア・フルティナさんは、姉の飲食店や畑仕事を手伝っている。

 オリンポスが特に先進的だとは思わない、とフルティナさん。「女性が一人でカフェにいると、冷ややかな目で見られるような狭い社会だ」と話した。

 地元の彫刻家ヤニス・ハジバシリスさんは、伝統を守っているのは女性たちだと言う。制作しているのは、海を見つめながら夫の帰りを待つオリンポス村の女性像だ。

 年配の女性たちは、刺しゅうを施した花柄のエプロンにヘッドスカーフ、革のブーツという伝統的な衣装を着用している。

 こうした伝統衣装は結婚する際の女性の持参品とされ、1000ユーロ(約15万円)する物もあり、何時間もかけて仕上げられる。

 パン職人として働くイリニ・チャジパパさん(50)は今でも毎日、伝統衣装を身に着ける。このいでたちを続けている村の女性の中では一番若い。

「娘にも刺しゅうを教えたが、現代的な生活に合わないと言って、平日は着ていない」と話した。

 チャジパパさんの母親(70)も同意した。「私たちの衣装は休日だけの伝統になってきた。私たちの社会は失われつつある」 (c)AFP/Marina RAFENBERG