【6月10日 AFP】インドネシアの先住民族バドゥイ(Baduy)人が、オンライン世界の「悪影響」を最小限に抑えるために居住区域でのインターネットを遮断するよう求めている。当局が9日、明らかにした。

 バドゥイ人はジャワ(Java)島のバンテン(Banten)州に約2万6000人いるが、テクノロジーを部分的に受け入れる開放派と、現代生活を避ける閉鎖派に分かれている。

 AFPが確認した嘆願書によると、閉鎖派は当局に対し、インターネットを遮断するか、近くの通信塔を移設して、居留地に電波が届かないようにしてほしいと要請している。

 バドゥイ人の代表は「この要請は、スマートフォンによる悪影響を最小化する試みの一環だ」と説明。居住区域の近くに通信塔があると、生活様式を脅かされ、若者がインターネットの誘惑に駆られて堕落する恐れがあると主張している。

 ルバック(Lebak)県の当局者はAFPに対し、5日に嘆願書を受け取ったと説明。通信・情報省と協議して要請に応じることで合意したとし、「基本的には、バドゥイの人々の希望と、彼らの伝統と地元の教えを維持するためのニーズには常に応じたいと考えている」と述べた。

 オンラインビジネスを立ち上げた開放派のバドゥイ人にはインターネットが必要だが、訪問者や観光客がインターネットにアクセスしてバドゥイ人にとっては不適切なコンテンツを見せることを懸念しているという。

 バドゥイ人の閉鎖派は、森の中での生活を選択し、テクノロジーやお金、昔ながらの学校教育を拒み、欧米メディアに「アジアのアーミッシュ(Amish)」と呼ばれている。

 バドゥイ人は、首都ジャカルタから車で数時間ほどの距離にある4000ヘクタールほどの区域にある三つの村に住んでいる。政府は1990年、この区域を文化保護区に指定した。(c)AFP