チベット族の「クリスティアーノ・ロナウド」と39人の仲間たちの特別な旅
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【6月9日 CNS】海抜4500メートルのチベット高原から2500キロメートルを越え、児童福祉施設で成長してきたチベット族の子どもたちは、中国トップのサッカーイベントの試合会場に立つことができた。
これら40人の子どもたちは中国・青海省(Qinghai)玉樹チベット族自治州(Yushu Tibetan Autonomous Prefecture)児童福祉施設出身で、数日前に北京市で特別な旅をした。同自治州は中国の長江(揚子江、Yangtze River)黄河(Yellow River)、瀾滄江(Lancang River、下流は東南アジアのメコン川)の源流地に位置しており、13年前には地震によって世界の注目を浴びた。40人のチベット族の子どもたちの中で最年長は16歳で、最年少は7歳だ。彼らにとってこれは初めての北京だ。そもそも、多くの子どもたちにとって故郷を離れることも、飛行機に乗ることも初めてだった。彼らの中にはサッカー好きの少年が多く、専門のトレーニングを受けたことはないが、プロのサッカー選手になることが夢だという。
6月2日の夜、高原からきたサッカー好きの少年たちが北京工人体育場に現れた。ここは中国で最も名高いスポーツ施設の一つであり、1990年のアジア大会や2008年のオリンピック関連のイベントが開催された場所だ。「玉樹のクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)」と呼ばれるアビンと他の5人の仲間は、エスコートキッズとして中国サッカー・スーパーリーグ(CSL)の試合会場に立った。現地には約5万人のファンが歓呼の声を上げ、子どもたちの到着を歓迎した。
その旅程には濃厚な民族的特色があった。蒙蔵(モンゴル族・チベット族)学校の旧校舎にある中華民族共同体体験館では、歴史の授業が好きなザバチェンが100年以上前の史料を注意深く見ていた。彼は、歴史を学ぶことは国家と民族を理解する最良の方法だと語った。中央民族歌舞団のパフォーマンスを鑑賞する際に、13歳の少女チュオマーツォは、各民族の楽器にはそれぞれ特徴があり、合奏曲は壮大できれいだと語った。
故宮(紫禁城、Forbidden City)、万里の長城(Great Wall of China)、国家体育場(通称・鳥の巣)、水立方(ウオーターキューブ)など、チベット族の少年たちの北京の旅では、古代中国の歴史に触れるだけでなく、現代中国のランドマークも巡った。
彼らの北京に来たい理由はさまざまだが、最も多いものは「北京は首都だから」だ。この「青海玉樹チベット族青少年北京の旅」というイベントは、中国主要メディアの中国新聞社(China News Service)などによる主催だった。
中国新聞社の副編集長、中国新聞網の兪嵐(Yu Lan)総裁は、今回の特別な「6月1日の国際児童デー」の活動を通じて温かさを伝え、子どもたちの目に希望を灯し、心に夢を抱かせ、彼らに忘れられない子ども時代の思い出と期待される幸福な未来を与えたいと述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News