【4月3日 CNS】中国の少数民族である土家(Tujia)族の人びとにとって、油茶スープは身も心も温めてくれるソウルフードだ。

 湖北省(Hubei)来風県(Laifeng)百福司鎮(Baifusi)舍米湖村(Shemihu)の古い木造家屋で、74歳の土家族である彭大丙(Peng Dabing)さんは、薪をくべて、客人をもてなす油茶湯を作り始めた。

 ラードを鍋に注ぎ、熱くなると、そこに濃いお茶を注ぐ。一瞬で茶葉が伸び、「チクチク」という音とともに、強い焦げた香りが立ち上った。

「油茶は油を必要とし、火加減が重要です。弱火だと茶葉がうまく焼けず、強火だと焦げてしまう」。彭さんが炒めながら言った。家の中はお茶の香りでいっぱいになった。

 その後、彭さんは鍋に水を注ぎ、塩とニンニクの芽を加え、水が沸騰したらスープを椀に掬い取って、ポン菓子、干し豆腐などを土器のお椀(わん)に入れた。

「火傷しないように気をつけて、ゆっくり飲んでください」と彭さん。ボウルを手に取って、油の層を吹きながらすすると、茶葉の香り、ポン菓子のうま味、ニンニクの芽の柔らかさ…さまざまな味が口の中に広がる。

 油茶スープは土家族の人々が愛する伝統的な味の食べ物だ。清朝の同治年の「咸豊県志」には「油茶:干し豆腐を細かく刻み、茶を細かく刻み、米を炒め、煮て、客をもてなしたり、自分で食べたりする」とある。

 百福司鎮では、油茶スープは飲み物だけでなく、食事と一緒に食べるスープでもあり、家族全員が作り方を知っている。

 土家族の人びとは高床式の建物に住み、大きな肉片を食べ、大きな椀で酒を飲み、三脚鍋でご飯を炊き、油茶スープを飲み、山の民謡を歌い、土家語を話す。

「故郷の味は常に最も深い思い出だ。私たち土家族の人々は、どこへ行っても、故郷の油茶スープが恋しい」。舍米湖村の共産党第一書記である謝永州(Xie Yongzhou)氏は、土家族の人々にとって、油茶スープは珍味だが、家族の珍味でもあると述べている。

 油茶スープはあらゆる種類の高級ワインや飲み物に取って代わられず、世代から世代へと受け継がれてきた。(c)CNS/JCM/AFPBB News