【6月7日 AFP】ノルウェーの救助当局は7日、北極付近で氷に囲まれている調査船から、救急医療を要するロシア人乗員をヘリコプターで救出したと発表した。

 両国関係は、ロシアによるウクライナ侵攻開始以来悪化しているが、今回の作戦は北極圏での捜索救助に関する2国間協定に従って実施された。

 ヘリが出動したのは、北極点から約440キロ付近のロシア船「セベルヌイ・ポリウス(Severny Polyus、北極の意)」。患者は船上での治療が困難と判断された。

 ノルウェーはロシア当局からの要請を受け、約930キロ離れたノルウェー領スバルバル諸島(Svalbard Islands)の中心都市ロングイェールビーン(Longyearbyen)から、大型双発ヘリコプターH215スーパーピューマ(Super Puma)を派遣。6日夕方に患者を収容した。

 ノルウェー北部ボードー(Bodo)の救助センター広報はAFPに対し、「ヘリコプターの航続距離の限界だった」と明かした。製造元のエアバス・ヘリコプターズ(Airbus Helicopters)によると、外部タンクを追加しない場合のH215の最大航続距離は866キロとされている。

 ノルウェーのチームは、北極圏での極限的な活動のための備蓄があるスバルバルで燃料を満杯にし、ロシア船も復路用の燃料を提供した。

 ロシア人患者は数時間後にロングイェールビーンに到着。医療用飛行機に移され、ノルウェー本土に搬送された。詳しい容体は明らかになっていない。(c)AFP