【6月7日 AFP】ウクライナ南部ヘルソン(Kherson)州のロシア支配地域にあるカホウカ(Kakhovka)水力発電所のダムが6日、攻撃を受けて決壊した問題で、周辺の1都市と24村で洪水が発生、1万7000人が避難を強いられた。地元当局が明らかにした。米政府は「多数の死者が出た可能性が高い」としており、人道危機が懸念されている。

 ウクライナ政府は、ロシアがウクライナ軍の反転攻勢を妨害する目的でダムを破壊したと主張。一方、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は「ウクライナ側の意図的な破壊工作」だとしている。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、最大で80の集落が冠水する恐れがあると説明。反攻への影響はないとしつつも、国際社会に行動を訴えた。

 西側諸国も相次いでロシアを非難した。欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル(Charles Michel)欧州理事会議長(EU大統領)は、ダム攻撃は「戦争犯罪」だと糾弾。北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長も、「非道」だと断じた。

 一方、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー(John Kirby)戦略広報調整官は記者会見で、「何が起こったのか現時点では断定できない」としている。(c)AFP