中国で大当たりのAI歌手 著作権侵害の可能性も
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【5月17日 CGTN Japanese】描画やコピーライティングに続いて、人工知能(AI)がついに音楽の世界にも触手を伸ばしました。中国の多くの動画や音楽のプラットフォームでは、20年前の2003年に大ヒットしたシンガポール出身の女性歌手ステファニー・スンの音声データを利用したAIステファニー・スンの複数の関連動画が100万回以上の再生回数を記録しました。AIステファニー・スンは既に多くの閲覧数を獲得するための決め手となっています。AIイーソン・チャンやAIジェイ・チョウなども次々と現れています。
ネットユーザーにとってAI歌手は斬新なイメージを与えてくれるものの、業界では人工知能を使ったコンテンツ生成(AIGC)に対する法的ベースと管理基準が白熱した議論を引き起こしています。専門家は、「AI歌手のコンプライアンス上のリスク、特に著作権リスクを注意深く精査する必要がある」と指摘しています。現在、業界内ではAIGCに特化した規制方法に対する意見公募が行われています。
「ステファニー・スンがなんと『髪如雪(ジェイ・チョウの歌)』をカバーした?」ネットユーザーのショウホンさんが「ビリビリ(BILIBILI:中国の動画配信プラットフォーム)」のトップページを開くと、関連動画のプッシュ通知が届きました。動画を視聴してみると、「一見するとステファニー・スンの声とかなり似ているけど、画面を横切るコメント(弾幕)をよく見たら、AIのパロディーだと分かった」ということです。
人気歌手を模した独特の音色と定番の曲をカバーすることで、AI歌手は最近、多くの動画クリエイターにとって多くの閲覧数を獲得するための決め手となっています。「AIステファニー・スン」がカバーした「髪如雪」「愛在西元前」などの曲のビリビリでの再生回数は100万回を超えており、「AIステファニー・スン」に関連する多くの新曲が毎日リリースされ、複数の音楽プラットフォームで同時に配信されています。
このような新しい現象について、ネットユーザーは、「未来の音楽ソフトは、ひょっとしたらまず歌を選び、次に歌手をオプションで決めてカスタムメイドできるかも」「あと数年で技術がさらに進み、バーチャル人間が完全に歌手に取って代わる可能性も」と、からかうと同時に、好きな歌のジャンルを自由に選び、好みの音色を自動的に合成し、新しい曲を即座に生成するAI歌手への憧れも示しています。
一方、中国人民大学知的財産権学部の姚歓慶准教授は、「ライセンスを受けていないAI歌手は、関連する歌手の氏名権や商業的名声を毀損し、『著作権法』で「リメーク」について定めた法定許諾範囲に違反する可能性がある」と指摘しました。
AIGCに関するさまざまなコンプライアンス上の問題は既に業界内で注目の焦点となっています。中国国家インターネット情報弁公室は4月11日、『生成式人工知能サービス管理方法(意見募集稿)』について意見公募を行い、AIGC製品の提供者の責任の範囲について要求を出し、知的財産権と商業倫理を尊重し、アルゴリズム、データ、プラットフォームなどの優位性を利用して不公平な競争を行ってはならないと強調すると同時に、データソースの段階から「生成するコンテンツ」の信ぴょう性と正確さを確保し、生成式人工知能製品の事前学習データ、最適化トレーニングデータソースの合法性に責任を負うことを求めています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News