【5月15日 AFP】大手芸能プロダクションのジャニーズ事務所(Johnny and Associates)は14日、創業者で2019年に87歳で死去したジャニー喜多川(Johnny Kitagawa)前社長による性被害を元所属タレントらが告発している問題をめぐり、藤島ジュリー景子(Julie Keiko Fujishima)社長が謝罪する文書と動画を発表した。

 かつて同事務所に所属していたカウアン・オカモト(Kauan Okamoto)さんは先月、東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見に臨み、15歳の時に初めて喜多川氏から性被害を受け、2016年に退所するまでの4年間に「15〜20回」被害に遭ったと述べた。

 喜多川氏の性加害については長らく疑惑とされていた。公表する被害者は極めて少なく、喜多川氏が生前、刑事責任を問われることはなかった。しかし、英BBC放送が最近配信したドキュメンタリー動画をきっかけに疑惑が再浮上した。

 喜多川氏のめいに当たる藤島社長は発表した文書と動画で「何よりもまず被害を訴えられている方々に対して深く、深くおわび申し上げます」と謝罪した。

 カウアン・オカモトさんの告発については「当然のことながら問題がなかったとは一切思っておりません。加えて会社としても、私個人としても、そのような行為自体は決して許されることではないと考えております」と述べた上で、「一方で、当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではない」と語った。

 また事務所や藤島社長自身が喜多川氏の性加害について認識はなかったのかと問われると、「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」と述べた。

 これに対し、所属タレントのファン有志がつくる団体「PENLIGHT(ペンライト)ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」は、「記者会見で質問を受けるのではなくあらかじめ用意された文書のみの見解では不明点も多く、不十分」との見解を示した。

 同団体は「私たちが求めているのはまず実態調査・検証をし、事実を認めた上で、企業として責任を持って性暴力被害者に謝罪をすること」と主張している。

 喜多川氏は1960年代にジャニーズ事務所を創業。SMAPTOKIO、嵐(Arashi)などのスーパーアイドルグループを手掛けてきた。

 芸能界での成功を目指してジャニーズ事務所に所属する新人はジャニーズJr.(ジャニーズジュニア、Johnny's Jrs)と総称される。(c)AFP