【5月15日 CNS】中国最大の同人誌即売イベント「上海COMICUP29」が5月初めに上海の国家会展センターで開催された。上海の大学生、林妙妙(Lin Miaomiao)さんは、金色の冠に衣装をまとって「西遊記」に出てくる観音様のコスプレで会場を訪れた。その芸術的なコスプレは「絵から抜け出たようだ」と観衆ら絶賛され、拝み出す人まで現れたという。

 よくコスプレの衣装をデザインしている林さんは「この観音様のコスプレは特定のアニメやゲームのものではありません。伝統的な中国のイメージから思いついたものです」と説明する。

 中国では近年、林さんのように伝統的な中国文化をモチーフにコスプレを楽しむ「国潮」というジャンルが盛り上がっている。

 アニメや漫画、ゲームなどの「二次元」文化圏は中国でも盛り上がっているが、日本の人気作品や欧米から輸入されたものが多かった。もともと輸入文化だった「二次元」も中国で発展を遂げるうちに中国的な要素が現れ始めたということだろう。

 林さんは「注目を集めたかったわけではなく、『国潮』に趣味を持つ人たちと交流したかっただけ。今回、大勢の友だちができてうれしかった」と話す。

「国潮」の愛好者たちは、SNS上の動画などを通じて、歴史もののアニメやゲームキャクターの髪形や古式メイクを楽しんでいる。中国では昨年暮れに新型コロナ対策が大幅に緩和されたことを受けて、上海市、武漢市(Wuhan)、西安市(Xi’an)、重慶市(Chongqing)、成都市(Chengdu)、蘭州市(Lanzhou)などでアニメ関連のイベントが計画されている。

 近年増えてきた中国国産アニメを通じて、中国の伝統文化に関心を持つ子どもも増えているという。こうした変化が、中国伝統文化を見直す「国潮」ブームにつながっていくのではないかと期待されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News