対立は宿命? 中国のアパレル卸売市場はなぜライブ配信と決裂するのか
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【5月2日 CNS】杭州四季青服装市場は、中国・杭州市(Hangzhou)内の最大規模のアパレル卸売集散地の一つであり、中国全土のアパレル経済のバロメーターでもある。
近年、オンラインでのライブ配信販売はおなじみとなっているが、「中国服装第一街」として有名な杭州四季青服装市場、その中の常青服装卸売市場では、ライブ配信の追い出し第一弾が打ち出された。2023年3月、同市場は、テナントと外来者に対し、市場内でのライブ配信、歩きながらの対外配信を禁止する公告を発表したのだ。
市場管理者は、実体経済の顧客を保護するためだと説明している。
常青服装卸売市場の張(Zhang)マネージャーは、「私たちの立場は現在、まず第一に、私たちは卸売市場であり、禁止することで、市場の卸売り客の利益を保護できる。そして、多くのテナントから同じ問題と求めが寄せられており、禁止によって正常な経営秩序の維持ができる」と語っている。
ライブ配信の禁止が実施されてすでに1か月になる。禁止が長期間続くのか、このやり方が正しいのか、管理側も試行錯誤の段階にあり、市場を効率的かつ長期間運営するため、まずは市場の卸売り客を保護し、安心感を与えなければならないと、張マネージャーは述べた。
張マネージャーは、ライブ配信の禁止は、ライブコマースを支持しないということではなく、ただ、利害の衝突の際にあり、市場の実体経済の顧客を保護するために選択したものだと語った。
「アパレル卸売市場は、インターネットに最も容易にひっくり返されてしまう。アパレル業界の論理は、供給側の製品をできるだけ多く、できるだけ早くバイヤーに見つけてもらい、同時に在庫を減らすことだ」と、浙江伝媒学院(Communication University of Zhejiang)の朱永祥(Zhu Yongxiang)教授は記者に語った。
デジタルエコノミーサービスプロバイダーである網経社のECアナリスト、莫岱青(Mo Daiqing)さんは、取材に対し、四季青のこのような行動は、市場戦略の調整に関連している可能性があると述べた。「四季青には、卸売業者の店舗が多数ある。彼らは今、自分たちの仕事をしっかりやりたいと思っているのかもしれない。過去にライブコマースが急に現れ、市場が多少荒れたことがあるが、現在のやり方は業界をより規範化し、持続的な発展につながる」と、莫岱青さんは述べた。
「四季青のこの取り組みは、冷静に見る必要があると思う。ライブ配信業界は一定期間の急速な発展を経て、必ず正常な軌道に戻る。ライブコマースも同じだ」。朱永祥教授は、「現在、多くのMCN(マルチチャンネルネットワーク)機構が存在している。四季青自身もMCN機構を持っている。これらの機構は専門能力の要件がますます高まっており、専門的になっている」と述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News