【5月1日 AFP】2021年4月、同月24日は性暴力が犯罪と見なされない「ナショナル・レイプ・デー」だとする主張が、動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」で拡散し、複数のファクトチェック機関により根も葉もないデマだと結論付けられた。全く同じデマが、今年もティックトックで広まった。

「レイプ・デー」の偽情報が再び拡散されたことにより、一部のユーザーはスタンガンや拳銃を携行するとし、また中には「安全装置を外した銃器」を持ち歩くとする書き込みも見られた。

 AFPでは、このデマの影響で暴力犯罪が発生したという報告は確認していない。

 メディア監視団体「メディア・マターズ(Media Matters)」は、偽情報の拡散抑止において専門家による論破には限界があると主張する。

 こうした状況についてティックトックの広報担当者は「卑劣な行為を助長するコンテンツが発見された場合、削除する」とAFPに回答した。

 米ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)でメディアの影響を研究しているS・シャム・サンダー(S. Shyam Sundar)氏は、「人の本能的な恐怖や欲望に付け込むセンセーショナルな話は、過去にデマだと結論付けられているかどうかにかかわらず、偽情報として常に格好のネタになる」と指摘する。

「デマは、その時々の有効期限は短いかもしれないが、何十年も消えず、時折また出回る」

 米のメディア専門教育研究機関ポインター・インスティチュート(Poynter Institute)のローラ・デュクロス(Laura Duclos)氏は、何度指摘されてもデマが復活する状況を「ゾンビ」になぞらえている。

 デュクロス氏は、デマの拡散を止めるのはユーザー次第で、「偽情報をシェアする前に十分に配慮」するかどうかだと話す。今回の場合は、「ナショナル・レイプ・デー」というキーワードで検索すれば、信頼できる機関によるさまざまなファクトチェックにたどり着ける。

 サンダー氏は、同じデマが今年も再び拡散されたのは、まさに心理学で「スリーパー効果」(時間の経過とともに情報の信ぴょう性が忘れ去られてしまうこと)と呼ばれる現象にほかならないと説明。

「デマだと指摘するメッセージを折に触れて発信する必要性」があると付け加えた。(c)AFP/Anuj Chopra, with Rachel Blundy in Hong Kong