【5月1日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazis)の統治下で富を築いたドイツ人実業家の妻でオーストリア人の富豪、故ハイディ・ホルテン(Heidi Horten)氏の宝飾品700点の競売が今週から開始される。競売大手クリスティーズ(Christie's)が明らかにした。

 クリスティーズによれば、出品されるのは「カルティエ(Cartier)」、「ハリー・ウィンストン(Harry Winston)」、「ブルガリ(Bulgari)」、「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)」などの宝飾品。

 コレクションの評価額は1億5000万ドル(約200億円)以上とされている。

 ハイディ・ホルテン財団に委託された歴史家が昨年1月に発表した報告書によると、夫はナチス党員だったが、後に除名されている。1987年にスイスで死去した。

 米経済誌フォーブス(Forbes)によると、昨年81歳で亡くなったホルテン氏の資産は29億ドル(約4000億円)に上る。

 クリスティーズはウェブサイトで、「ナチス時代に売却を余儀なくされたユダヤ人企業家の事業を夫が購入していたことは確認されている」としており、ギヨーム・セルッティ(Guillaume Cerutti)最高経営責任者(CEO)はAFPに対し、今回の競売については「慎重に検討」したと説明した。

 クリスティーズは、全収益はハイディ・ホルテン財団のものになるとし、同財団はハイディ・ホルテン・コレクションを保護・管理する一方で、ホルテン氏が支援した医学研究や児童福祉、その他の慈善活動をサポートしていると強調している。

 また、売り上げからも「ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)」の研究と啓発活動を推進する団体に寄付すると明言した。

 コレクションのうち約400点は、10日と12日にジュネーブのオークションハウスで競売にかけられる。その他、オンラインオークションが3〜15日と11月に予定されている。(c)Agnes PEDRERO