【4月28日 AFP】仕事にいそしむタクシー運転手や警備員、フィットネスインストラクターが映る画面にこんな字幕が浮かぶ。「君たちが本当に夢見ていたのは守ることではないか?」

 続いてドラマチックな音楽が流れ、完全武装した男たちが濃い霧に包まれた戦場を歩いていく。「君も本物の男になれ!」──ロシアのソーシャルメディアで拡散している志願兵募集の広告だ。

 ウクライナ東部での数か月のこう着状態をへて同国が反攻の準備を進める中、ロシア国防省は動画や街頭掲示板を使った大々的な志願兵募集キャンペーンを開始した。

 首都モスクワの広告板の一つには、青空を背にした3人の兵士の姿に「仕事は祖国を守ること」「名誉ある仕事でしっかりした給料を」といったキャッチコピーが躍っていた。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が昨年9月、第2次世界大戦(World War II)後初となる「部分動員」を発表すると、ロシア国内には衝撃が走り、数万人が国外へ逃れた。

■マッチョな文化を利用

 兵士募集の広告は、ロシアのマッチョな文化に乗じて、強くて愛国的な「本物の男」像に訴え掛けている。

 目標とする人数は明らかにされていないが、さまざまな推定で40万人と言われている。

 英軍の情報部は今週、「ロシア当局は国内の反発を最小限に抑えるため、新たな強制動員を可能な限り先送りしようとしている」との見解を示した。

 ロシア軍に志願すると、20万4000ルーブル(約33万円)以上の月給を約束される。

 モスクワ市長の公式サイトには、少なくともこの額が支払われる派遣先としてウクライナ侵攻を指す「特別軍事作戦」の実施地域とある。

 さらに攻撃に加わった場合は1日当たり8000ルーブル(約1万3000円)、敵の武器や軍備を獲得または破壊した場合は最低5万ルーブル(約8万2000円)の賞与を支払うとされている。

 ロシア南西部ボルゴグラード(Volgograd)市に住む学生のピョートル・リプカさん(21)は「ロシアで家族、そして両親まで養える十分な額だ」「祖国を守るのに報酬を得てもいいはずだ」とAFPに語った。

 さらにリプカさんは「契約書にサインする方が、強制動員されるよりましだ」と付け加えた。