■新たな衝撃を避けるために

 第2次チェチェン(Chechen)紛争中の1999~2002年に従軍したエフゲニー・クラピビンさん(41)は、今ウクライナで戦うために入隊を希望している。

 面接では最初、採用担当官に年齢が高いことを理由に追い返されそうになった。しかしすぐに「待て、いつ電話がかかってきてもおかしくないぞ」と言われた。モスクワで取材に応じたクラピビンさんは「準備はできている」と語った。

 5月9日には第2次世界大戦中にナチス・ドイツ(Nazi)に勝利した対独戦勝記念日を迎える。新たな採用活動は、プーチン政権下で熱狂的な祝賀行事が行われるこの日を前に開始された。

 プーチン氏は今月、徴兵対象者の出国を阻止するものとして物議を醸している招集令状のデジタル化法案を承認した。

 政権批判派は、同法の狙いは2年目に突入したウクライナ侵攻への動員促進だけではなく、兵役忌避者の取り締まりだと指摘する。

 独立系の調査機関レバダセンター(Levada Centre)のデニス・ボルコフ(Denis Volkov)代表は軍の動員について「当局は社会に新たな衝撃やストレスを与えることを明らかに避けたがっている」とAFPに語った。「それで志願兵の募集という異なるシナリオを選択した」

 今回の採用活動は特に貧しく小さな街で成功する可能性があるとボルコフ氏は指摘する。「昨秋のようなパニックは見られない。国境を越えるために列をつくっている人もいない」 (c)AFP