【4月25日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)の島国ハイチの首都ポルトープランスで24日、ギャング組織の構成員とみられる十数人が投石され、生きたまま焼かれる事件が発生した。国連(UN)は、市内は紛争下に近い状態にあると警告している。

 警察は、武装した複数人が乗っていたマイクロバスを捜索し、武器などを押収したと発表。さらにこの車両で移動していた10人以上が、住民によるリンチ(私刑)で殺害されたとしている。

 ただ、正確な死者数は公表されておらず、住民により殺害された容疑者が拘束されていなかったことについても説明はされていない。

 目撃者によると、ギャングの構成員は24日未明、市内数か所の住宅街の民家に押し入り、襲撃した。

 AFPの取材に応じた住民は、「午前3時にギャングがやって来てきて、銃撃が起きた」と証言した。別の住民は「ギャングが襲ってきたら、自衛する。私たちにも武器はあるし、マチェーテ(なた)もある。あいつらの武器を奪ってやる。逃げたりはしない」と話した。

 ネットで拡散された画像や動画によると、ギャング構成員と思われる少なくとも3人が白昼に殺害され、焼かれたとみられている。

 国連のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は報告書で、武装したギャング同士の縄張り争いが首都圏全域に拡大し、これまで影響を受けていなかった地域にも広がっていると指摘した上で、「死者数が増加し、ギャングの支配下に置かれた地域が広がり、首都の治安の悪さは紛争下に近い状態にある」と述べている。

 ハイチで確認された殺人件数は、昨年の第4四半期は673件だったが、今年の第1四半期には815件と、ここ数か月で21%増加した。誘拐件数も、391件から63%増の637件に拡大している。

 国連のハイチ担当人道調整官の報告によれば、ギャングの抗争による死者は4月14~19日で70人近くに上り、うち少なくとも2人は子どもだった。

 グテレス氏は、「国際的な専門部隊の即時配備を改めて要請する」としている。

 グテレス氏は昨年10月、ハイチのアリエル・アンリ(Ariel Henry)首相の要請を受け、安全保障理事会(Security Council)に現地警察が秩序を回復できるよう支援を求めた。参加表明した国もあったが、率先する動きは起きなかった。(c)AFP