【4月25日 AFP】競泳男子平泳ぎで3個の五輪金メダルを誇るアダム・ピーティ(Adam Peaty、英国)は24日、メンタルヘルスの問題で「自己破壊的なスパイラル」に陥っていることを明かした。先日には、この問題を理由に第20回世界水泳選手権(20th World Aquatics Championships)の英国代表チームから外れていた。

 28歳のピーティは東京五輪で100メートル平泳ぎの連覇を果たし、混合4×100メートルメドレーリレーでも金メダルを獲得するなど、短距離平泳ぎのトップ選手として10年近く活躍し続けてきた。

 しかし、これまでうつやアルコールの問題を抱えていることを告白しており、けがやモチベーションに加え、息子の母親と別れたことで昨年状態が悪化していたことを認め、英紙タイムズ(Times)に対し、「とてつもなく孤独な旅だ。肩の上にいる悪魔が『お前は人生を脱落した。十分ではなく、酒が必要だ。望むものを得られないし、幸せになれない』と話している」と語った。

 さらに「自己破壊的なスパイラルに陥っている。自分は人間だから、そう言っても構わない。そう言うことによって、答えを見つけていくことができる」としつつ、「キャリアにおいて、自分自身とは思えないというところまで到達してしまった。つまり、水泳に喜びを感じなくなったんだ。一番好きな競技でレースすることが幸せとは思えなくなった」とも話した。

 絶え間なく完璧を追求することで追い詰められてしまったものの、2024年パリ五輪で100メートル平泳ぎ3連覇を目指したいと強調したピーティ。「正気な人間なら、18年間も同じことをしてるなんて、常軌を逸していると分かる」とし、「毎年毎年ほんのわずかな差を稼ごうとする。0.1パーセントを見つけ出そうとするんだ」と話した。

「どうして今も戦っているのか分からない。その『どうして』という疑問に気づいたことは、ポジティブだと言える。その答えを探していく」 (c)AFP